「日本で唯一、国土地理院の地図に“砂漠”と表記されている場所」が、どこにあるかご存じでしょうか。
砂漠と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは鳥取砂丘かもしれません。
ところが、鳥取砂丘は名前のとおり「砂丘」であり、地図上の地名として「砂漠」と表記されている場所ではありません。
その唯一の場所は、東京都心から南へ約120km離れた伊豆大島にあります。
伊豆大島の中央にそびえる三原山。その東側に広がるのが、火山活動によって生まれた黒い大地「裏砂漠」です。
砂漠というと、黄色い砂が延々と続き、ラクダが歩いている景色を想像しますよね。
しかし、裏砂漠に広がっているのは、噴火で降り積もった黒いスコリアや火山灰。
見渡す限りの黒い大地は、砂漠というより火星や月面に降り立ったような異世界です。
今回は竹芝から高速ジェット船で伊豆大島へ渡り、レンタカーで島を巡りながら、月と砂漠ラインから裏砂漠を散策してきました。
2026年時点のアクセス方法や、服装、駐車場、天候に関する注意点も加えて詳しくご紹介します。
伊豆大島の裏砂漠とは?
裏砂漠は、伊豆大島の三原山東側に広がる火山性の荒原です。
三原山の度重なる噴火で噴き出した火山灰やスコリアが地面を覆い、さらに強風が吹き抜けるため、植物が定着しにくい環境になっています。
国土地理院の地図に「砂漠」と表記されている国内唯一の場所として知られ、伊豆大島を代表する絶景スポットの1つです。
なお、裏砂漠を含む山頂カルデラ一帯は、富士箱根伊豆国立公園の特別保護地区です。
自然環境を守るため、火山監視車両や緊急車両を除き、裏砂漠への車両乗り入れは禁止されています。
車は指定された駐車場所に停め、そこから徒歩で向かいましょう。
伊豆大島は東京から気軽に行ける火山島
伊豆大島は伊豆諸島最大の島で、東京の都心から約120km南の海上にあります。
伊豆諸島の中では本州に近く、船や飛行機を利用すれば週末旅行でも訪れやすい島です。
島の中央には標高758mの三原山がそびえ、現在も火山活動を続けています。
海、温泉、椿、火山地形、島グルメと見どころが多く、裏砂漠だけを見て帰るには少々もったいない観光地です。
伊豆大島へのアクセスは船または飛行機
伊豆大島へは、海路と空路の2通りでアクセスできます。
空路は調布飛行場と大島空港を結ぶ新中央航空の定期便が基本です。
羽田空港と伊豆大島を結んでいたANA便は、すでに運航を終了しています。
海路は東海汽船の大型客船や高速ジェット船が中心で、東京・竹芝客船ターミナルのほか、季節や運航日によって熱海、久里浜、館山、横浜などから便が設定されることがあります。
出発港や運航本数は季節によって変わり、海況による欠航もあります。
旅行日が決まったら、東海汽船の最新時刻表と運航状況を必ず確認してください。
今回は東京の竹芝客船ターミナルから、高速ジェット船で伊豆大島へ向かいました。
竹芝桟橋の船着き場からレインボーブリッジが見えました。
伊豆大島への定期航路は、東海汽船が運航しています。
写真の船は、東海汽船の高速ジェット船「セブンアイランド」です。
竹芝から伊豆大島までの所要時間は、便や寄港地によって異なりますが、おおむね1時間45分前後。
高速ジェット船は、水中翼によって船体を海面から浮かせながら走行する仕組みです。
一般的な船より波の影響を受けにくく、移動時間も短いため、船旅に慣れていない方にも利用しやすいでしょう。
とはいえ、海況によっては揺れることもあります。
船酔いが心配な方は、乗船前に酔い止めを服用し、できるだけ船の中央付近の席で過ごすと安心です。
それでは船に乗り込みましょう。


天候がイマイチですが、せっかくの旅行なのでテンションを上げていきたいと思います。
では、出発!
高速ジェット船で伊豆大島に到着
約1時間45分の船旅を楽しみ、伊豆大島へ到着しました。
乗船前は長く感じるかと思いましたが、実際に乗ってみるとあっという間です。


伊豆大島には、主に「岡田港」と「元町港」の2つの発着港があります。
どちらを利用するかは、当日の風向きや波、運航状況によって決まります。
乗船券に港名が固定されているとは限らず、当日の朝に発着港が変更されることもあります。
レンタカーや宿の送迎を予約する場合も、当日の入港地を確認して連絡しましょう。
この日の到着港は岡田港でした。


港の中には飲食店やお土産屋さんもあります。
裏砂漠観光にはレンタカーが便利
私たちは事前にレンタカーを予約しており、レンタカー店の方が港の駐車場で待っていてくれました。
返却方法は事業者によって異なりますが、訪問時は、
「元の駐車場所へ戻して、車に鍵を付けたままで大丈夫」
という、島らしい大らかな方式でした(笑)
現在はレンタカー会社ごとに受付・返却方法が異なります。
予約時に、当日の入港地への配車、返却場所、ガソリン、免責補償などを確認してください。
伊豆大島には路線バスもありますが、月と砂漠ライン入口や島内の複数スポットを効率よく巡るならレンタカーが便利です。
ただし、週末や椿まつりなどの繁忙期は満車になることがあります。
船や宿を予約したら、レンタカーも早めに確保しておきましょう。
それでは、島内ドライブへ出発です。




もう1つの玄関口「元町港」へ
伊豆大島のもう1つの主要港である、元町港にも立ち寄ってみました。


この日は出港がないので、当然ながら人はほとんどいません。


いかにもな景色が広がる港周辺。
雨がパラパラと降ってきましたが、さらにドライブを続けます。
大島一周道路を走っていると・・・
あれはもしや・・・
やはりそうです。
これは伊豆大島の名所、地層大切断面です。
大島一周道路沿いに、高さ約24m、長さ約630mにわたって縞模様の地層が続きます。
何度も繰り返された噴火によって降り積もった火山灰やスコリアが層となり、道路工事によって断面が現れたものです。
巨大なバウムクーヘンのように見えることから、通称「バームクーヘン」とも呼ばれています。
伊豆大島が火山活動によって形づくられた島であることを、目で見て実感できる場所です。
現在も三原山は活火山です。
入山前には気象庁の火山情報や、伊豆大島ジオパーク・大島町の最新案内も確認しましょう。
いよいよ伊豆大島の裏砂漠へ
それでは、今回の目的地である裏砂漠へ向かいましょう。


更に車を走らせると海が見えてきました。


月と砂漠ラインから裏砂漠へアクセス
裏砂漠へ向かう代表的なルートの1つが、大島一周道路から「月と砂漠ライン」へ入る方法です。
元町港から月と砂漠ラインの駐車場所までは車で約40分、岡田港からは約30分が目安。
入口の案内看板は大きくないため、通り過ぎないよう注意しましょう。
カーナビや地図アプリだけに頼らず、事前にルートを確認しておくと安心です。
月と砂漠ラインは、車同士が余裕をもってすれ違える道ではありません。
カーブが多く、木々で見通しも悪いため、対向車を意識しながらゆっくり進みます。
途中には案内表示や分岐があるため、スピードを出さずに走りましょう。
路面状況は天候や工事によって変わる可能性があります。
月と砂漠ラインの終点にある駐車スペースへ車を停めます。
ここから先の裏砂漠一帯は特別保護地区であり、一般車両は進入できません。
必ず指定された場所へ駐車し、徒歩で向かいましょう。


駐車場所から裏砂漠までは徒歩約800m
ここからは徒歩で裏砂漠を目指します。
月と砂漠ライン終点の駐車場所から、視界が開ける裏砂漠までは約800m。
距離だけを見ると短く感じますが、未舗装路や火山性の地面を歩くため、街中の800mより時間がかかります。
往復時間と現地での散策時間を考え、余裕のある行程を組みましょう。
道は細く、両側から伸びた木の枝や葉が体へ触れます。
雨の日は、葉にたまった水で衣服が想像以上に濡れるため、傘よりも両手を使えるレインウェアがおすすめです。
足元は黒いスコリアやぬかるみで滑りやすくなることがあります。
履き慣れたトレッキングシューズや、靴底に凹凸のある運動靴で向かいましょう。
サンダルやヒールでは危険です。
ちょっとだけ道が広くなりました。


地面が黒いのがおわかりでしょうか。すでに裏砂漠地帯に足を踏み入れているようです。
ん?まだ細い道を通るのですね・・・
細い道を抜けた瞬間、突然視界が開けました。


三原山の麓に広がる、広大な黒い世界。
これが伊豆大島の裏砂漠です。


真っ黒なスコリアと火山灰に覆われた大地は、完全な異世界です。


まるで、他の惑星に来てしまったかのようです。
雨の影響もあってか、周囲にいたのは私たちだけ。
広大な裏砂漠が、まさかの貸し切り状態です。
視界は決して良くありません。
しかし、霧と黒い大地が重なり、晴天時とは違う幻想的な景色を楽しめました。
一方で、裏砂漠は人工物や目印が少なく、霧や強風の中では方向感覚を失いやすい場所です。
天候が悪化した場合は無理に先へ進まず、来た道を引き返しましょう。
スマートフォンの電波や電池だけを頼りにせず、地図を事前に保存し、できれば複数人で行動することをおすすめします。
なぜ裏砂漠には植物が少ないのか
裏砂漠について、伊豆大島の観光案内では次のように説明されています。
「裏砂漠」は国土地理院が発行する地図に唯一「砂漠」と表記された場所です。
伊豆大島の象徴ともいえる三原山の度重なる噴火によって降り注いだマグマのしぶきが大地を焼き、植物を燃やし、一面黒い世界を作り上げています。
噴火後も風が強く吹きぬける場所であるため、植物が定着しにくく、いわゆる“砂漠”的な光景がひろがっています。
裏砂漠では、さえぎるものが何もないので、風が強く吹く日は容赦なく吹きつけます。
陽射しも強いので、季節や天候に応じて防寒対策や日焼け対策は忘れずに。
また、地面はスコリアという細かい軽石のような火山岩なので、斜面を歩くときは滑らないよう足元に注意しましょう。
という場所です。
黒い地面を構成しているのは、主にスコリアと呼ばれる穴の多い火山噴出物です。
軽くて崩れやすいため、斜面では足元が滑ることがあります。
また、遮る物がない裏砂漠では、島の市街地より風が強く感じられることも珍しくありません。
帽子や荷物が飛ばされないよう注意し、夏は日焼け止めと十分な飲料、冬や強風時は防寒着を用意しましょう。
裏砂漠に残る「もく星号遭難の地」
裏砂漠周辺には、「もく星号遭難の地」を示す案内があります。
1952年、羽田から福岡へ向かっていた旅客機「もく星号」が、伊豆大島の三原山周辺へ墜落しました。
現在の雄大な景色の中には、このような痛ましい歴史も残されています。
現地を訪れた際は、単なる撮影スポットとしてだけでなく、静かに手を合わせたい場所です。
衛星写真で見ると裏砂漠の広さが分かる
ここで、もう一度伊豆大島の衛星写真をご覧ください。
中央に見えるのが三原山。
その周辺、とりわけ東側に広がる黒い部分が、裏砂漠を含む植生の乏しい火山地帯です。
地上に立っていると広さを把握しにくいのですが、上空から見ると三原山を取り囲むように黒い大地が広がっていることが分かります。
裏砂漠へ行くときの服装と持ち物
裏砂漠は舗装された観光施設ではありません。
次のような装備を用意しておくと安心です。
・履き慣れた運動靴またはトレッキングシューズ
・両手を使えるレインウェア
・風を防げる上着
・飲料水
・日焼け止め
・帽子を固定するストラップ
・モバイルバッテリー
・オフラインでも確認できる地図
夏でも風が強い日は体感温度が下がり、冬は市街地より厳しい寒さになることがあります。
反対に晴天時は日陰がほとんどなく、強い日差しを直接受けます。
季節だけで判断せず、当日の気温、風速、降水予報を確認してください。
裏砂漠観光で注意したいこと
裏砂漠を安全に楽しむため、次の点にも注意しましょう。
・裏砂漠へ車やバイクで乗り入れない
・火山岩や植物を持ち帰らない
・霧や強風時は無理をしない
・遊歩道や案内表示から大きく外れない
・船の出港時刻から逆算して行動する
・火山情報と天候を確認する
島の船便は、海況によって出港地や時刻が変わる場合があります。
最終便に乗る予定なら、裏砂漠で時間を使いすぎないよう注意してください。
月と砂漠ライン以外の裏砂漠ルート
裏砂漠へは、月と砂漠ラインのほか、大島一周道路沿いの駐車場から展望台方面へ歩くルートもあります。
大島町の案内では、一周道路沿いの駐車場から第1展望台まで約3km、第2展望台まで約3.5km。
月と砂漠ラインより歩行距離が長くなるため、時間と体力に余裕がある方向けです。
三原山周辺のトレッキングコースと組み合わせる方法もありますが、火山地形では天候が急変することがあります。
長いコースを歩く場合は、ガイドツアーの利用も検討してください。
2026年版・伊豆大島裏砂漠の基本情報
名称:裏砂漠
所在地:東京都大島町泉津・三原山東側
見学料金:無料
見学時間:終日可能ですが、日中の明るい時間帯を推奨
定休日:なし
代表的なアクセス:大島一周道路から月と砂漠ラインへ入り、終点の駐車場所から徒歩約800m
岡田港から:月と砂漠ライン駐車場所まで車で約30分
元町港から:月と砂漠ライン駐車場所まで車で約40分
駐車料金:無料
トイレ:裏砂漠内にはありません。出発前に港や観光施設などで済ませておきましょう
注意事項:特別保護地区のため一般車両の乗り入れ禁止。強風・霧・雨・火山情報に注意
所要時間は、港や出発地点、散策範囲、道路状況によって変わります。
最新の道路状況や立入情報は、大島町、伊豆大島観光協会、伊豆大島ジオパークなどで確認してください。
まとめ|裏砂漠は伊豆大島でしか見られない異世界
伊豆大島の「裏砂漠」をご紹介しました。
国土地理院の地図に「砂漠」と表記されている、日本で唯一の場所。
そこに広がっていたのは、黄色い砂の砂漠ではなく、三原山の噴火と強風がつくり出した黒い火山の大地でした。
細い林道のような道を抜け、突然目の前に黒い世界が現れた瞬間は、今でも忘れられません。
晴天なら、空と海と黒い大地の壮大なコントラスト。
曇天や霧なら、別の惑星へ迷い込んだような幻想的な景色。
天候によって、まったく違う表情を見せてくれる場所です。
ただし、裏砂漠は整備されたテーマパークではありません。
風、雨、霧、足元、火山情報に注意し、無理のない計画で訪れてください。
伊豆大島へ行く機会があれば、ぜひ自分の足でこの異世界を体感してみてください。
写真で見る以上に、圧倒される景色が待っています。
裏砂漠だけでなく、島グルメや温泉、宿泊など、実際に訪れて分かった伊豆大島のおすすめスポットをまとめました。













知りませんでしたよ!砂丘と砂漠!あの風景は異次元の世界ですね。今回は特に他の観光客がいなかったので荒涼さがアップ!行って見たいです!
pope様
はい、まさに荒涼とした世界でした。
天候不良で他の人が全くいなかったので、写真を撮りまくってきました(笑)
今度は晴れている時に行ってみたいです(^^)
地層切断面・・・こういうの好きです・・・何万年もの時代の地面の層、長年の時を感じます
黒い砂漠ですね!・・・鳥取砂丘確かに砂漠の雰囲気有りますが砂丘なんですね!
坂田様
私もこういうの好きですね(^^
こんなに綺麗な模様が自然にできるなんて・・・時間を忘れて見入ってしまいそうです。