【2026年版】温泉の色はなぜ変わる?乳白色・青・緑・茶褐色・黒湯の違いを解説

温泉の色 コバルトブルー

今回は、温泉の色についてお伝えします。

温泉と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは無色透明のお湯ではないでしょうか。

しかし、日本各地の温泉を巡っていると、乳白色、エメラルドグリーン、コバルトブルー、茶褐色、黒色など、驚くほど個性的なお湯に出会うことがあります。

いわゆる「にごり湯」ですね。

色鮮やかな温泉を目の前にすると、

「この色なら、ものすごく効きそう!」

と思ってしまいます。

確かに、温泉の色は含まれている成分や湧出後の変化を知る手掛かりになります。

ただし、ここで注意したいのは、

温泉の色だけで泉質や適応症を断定することはできない

という点です。

同じ乳白色でも原因となる成分が異なる場合があり、反対に同じ泉質でも、湧出直後と浴槽に注がれた後では色が変わることがあります。

今回は、代表的な温泉の色と、その色が生まれる主な理由を紹介します。

なお、この記事は環境省の温泉に関する基準や分析方法を参考に、2026年版として内容を見直しています。




温泉に色が付いて見えるのはなぜ?

温泉の色は、主に次のような理由によって生まれます。

・温泉に溶けていた成分が空気に触れて酸化する

・硫黄や鉄などの成分が細かな粒子となって析出する

・微粒子やコロイドが光を散乱させる

・腐植質など、もともと色の付いた有機物が含まれている

・泥や粘土などの懸濁物が混ざっている

温泉は地中から湧き出した後、空気へ触れ、温度や圧力が変わることで、含まれている成分の状態も変化します。

その結果、湧出口では透明だったお湯が、浴槽へ注がれる頃には白や茶色に濁ることもあります。

ただし、すべての源泉が必ず無色透明というわけではありません。

湧出した時点ですでに色や濁りが見られる温泉もあります。

温泉の色や濁り、臭いは時間の経過によって変わることがあるため、温泉分析でも採取からの経過時間を記録することになっています。

温泉も人間と同じで、地上へ出てから少しずつ姿が変わっていくのですね。

もっとも、温泉の場合は「老化」というより酸化や成分の析出と表現したほうが正確です。

温泉の色と泉質は同じものではない

ここで覚えておきたいのが、色と泉質は別の分類だということです。

泉質は、温泉水に含まれる成分の種類や量、温度などを分析して決められます。

一方、色は見た目の特徴です。

たとえば、茶褐色のお湯だからといって、必ず含鉄泉とは限りません。

乳白色だからといって、必ず硫黄泉とも限りません。

入浴剤の添加、加水、循環ろ過、消毒、浴槽の材質、照明、天候などによって、見え方が変わることもあります。

色はあくまで、

「このような成分や変化が関係しているかもしれない」

と考えるためのヒント。

正確な泉質を知りたい場合は、浴場に掲示されている温泉分析書を確認しましょう。

エメラルドグリーン・緑色の温泉

緑色やエメラルドグリーンに見える温泉は、とても神秘的です。

温泉の色エメラルドグリーン

この緑色は、単純に特定の成分が緑色をしているから生まれるとは限りません。

硫黄由来の細かな粒子、温泉に含まれる微粒子、光の反射や散乱、浴槽の深さ、周囲の景色など、複数の条件が重なって見える場合があります。

青く見えるお湯へ黄色みが加わり、緑色に見えることもあります。

そのため、

「緑色だから塩化ナトリウム泉」

「緑色だから必ず硫黄泉」

と決めつけることはできません。

温泉は、晴天時と曇天時、朝と夕方、湯を張った直後と時間が経過した後で、色が違って見えることもあります。

まるで温泉そのものが、気分によって衣替えをしているようです。

乳白色の温泉

温泉らしい色として人気が高いのが乳白色

温泉の色 乳白色

白く濁った温泉を見ると、

「これぞ本物の温泉!」

という気分になりますよね。

乳白色のにごりは、硫黄成分が空気に触れ、細かな硫黄粒子となってお湯の中へ分散することで生じる場合があります。

この小さな粒子が光を散乱させるため、白く濁って見えるのです。

硫黄泉でよく見られる色ですが、乳白色だからといって、すべてが硫黄泉とは限りません。

カルシウムなどの成分が析出して白く見える場合や、泥・粘土質の微粒子が混ざっている場合もあります。

また、硫黄泉は肌への刺激が強い場合があります。

白くて優しそうな見た目だから、肌にも優しい

とは限らないので注意しましょう。

肌が弱い方は短時間から試し、必要に応じて入浴後に温泉成分を洗い流したほうが安心です。

硫黄泉の主な泉質別適応症

環境省の掲示基準では、硫黄泉の浴用における泉質別適応症として、次のものが挙げられています。

・アトピー性皮膚炎

・尋常性乾癬

・慢性湿疹

・表皮化膿症

・硫化水素型では末梢循環障害

ただし、これは医薬品のように、1回入れば病気が治るという意味ではありません。

温泉療養は、温熱作用、温泉地の環境、休養なども含めた総合作用によって、症状の軽減や健康増進を目指すものです。

以前よく使われていた、

「慢性婦人病」「高血圧症」「動脈硬化症に効く」

といった表現は、現在の公的な掲示基準とは異なるため、この記事では使用していません。

茶褐色・赤褐色・黄褐色の温泉

茶色、赤茶色、黄色っぽい褐色の温泉では、鉄が関係していることがあります。

温泉の色 茶褐色

地中では透明に近い状態で溶けていた鉄分が、地上へ湧き出して空気に触れると酸化します。

簡単にいえば、鉄が錆びるのと似た変化です。

その結果、黄色、オレンジ色、赤褐色、茶褐色などに見える沈殿物が生じます。

湧出口では透明だったのに、浴槽の縁や床が赤茶色に染まっている温泉もあります。

これは温泉に含まれていた鉄が析出し、少しずつ付着したものかもしれません。

ただし、茶褐色のお湯がすべて含鉄泉に分類されるわけではありません。

泉質名として「含鉄泉」を名乗るには、定められた基準を満たす必要があります。

鉄分が含まれていても、基準量に届かなければ別の泉質になる場合があります。

含鉄泉の適応症について

現在の環境省の基準では、含鉄泉に泉質別の浴用適応症は設定されていません

飲用では鉄欠乏性貧血が挙げられていますが、温泉を飲めるのは、飲用許可を受けた施設の指定場所に限られます。

温泉が茶色だからといって、自分の判断で飲んではいけません。

見た目が鉄分たっぷりでも、飲泉許可まで付いているとは限らないのです。

コバルトブルー・青色の温泉

まるで南国の海のように、青く見える温泉もあります。

温泉の色 コバルトブルー

コバルトブルーや淡い水色の温泉は、非常に写真映えします。

しかし、青い絵の具のような成分が溶け込んでいるとは限りません。

温泉中に生じた非常に細かな粒子が光を散乱させ、青い光が目へ届きやすくなることで、青く見える場合があります。

温泉に含まれるシリカ成分や硫黄由来の微粒子が関係すると説明されることもありますが、青色になる仕組みは温泉ごとに異なり、単純に、

「メタけい酸が多いほど青くなる」

とは言い切れません。

温度、pH、成分濃度、粒子の大きさ、湧出後の経過時間、浴槽の深さ、光の入り方など、さまざまな条件が影響します。

同じ温泉でも日によって青さが変化することがあるため、実際に見られたら少し得をした気分になりますね。

メタけい酸と美肌の湯について

メタけい酸は、温泉の紹介で「天然の保湿成分」と表現されることがあります。

ただし、環境省が定める療養泉の泉質分類には、「メタけい酸泉」という泉質名はありません。

また、メタけい酸の含有量だけで、医療的な美肌効果を断定することもできません。

「美肌の湯」「美人の湯」は、施設や観光地で使われる通称と考えたほうがよいでしょう。

青い温泉へ入っただけで、翌朝突然別人のような美肌になるわけではありません(笑)

それでも、美しい青色のお湯を眺めながら入浴すれば、心のリフレッシュにはなりそうです。

黒色・黒褐色の温泉

黒色や黒褐色の温泉は、見た目のインパクトが抜群です。

温泉の色 黒

東京や神奈川などでも見られる、いわゆる「黒湯」は、植物由来の有機物である腐植質などが関係している場合があります。

太古の植物が分解されてできた有機物が地下水へ溶け込み、茶褐色から黒褐色に見えるのです。

このような植物由来の有機物を含む温泉は、一般にモール泉と呼ばれることがあります。

ただし、「モール泉」は温泉法上の正式な掲示用泉質名ではありません。

分析結果によって、炭酸水素塩泉や塩化物泉など、別の泉質名が付けられます。

また、黒く見える理由は腐植質だけとは限りません。

泥や粘土、金属由来の沈殿物などが混ざっている場合もあります。

黒いから成分が濃い、黒いから効果が強い、という単純な話ではないのです。

色が濃い温泉ほど効能が強いわけではない

色の付いた温泉は、見た目の印象が強いため、

「透明な温泉より効きそう」

と感じるかもしれません。

しかし、色の濃さと温泉の適応症の多さは、比例しません。

無色透明でも成分を豊富に含む温泉はあります。

反対に、鮮やかな色が付いていても、その色の原因となる粒子が少量含まれているだけの場合があります。

また、

「色が付くと分子が大きくなり、肌への刺激が弱くなる」

とも一概にはいえません。

酸性泉や硫黄泉などは、白く濁っていても肌への刺激が強い場合があります。

温泉の刺激は、色ではなく、pH、泉質、成分濃度、温度、入浴時間などによって変わります。

見た目がミルキーだからといって、牛乳のようにマイルドとは限らないのです。

温泉の適応症は色ではなく分析書で確認

温泉施設には通常、温泉分析書や温泉成分の掲示があります。

確認したい主な項目は次のとおりです。

・泉質名

・源泉温度

・pH

・溶存物質量

・主な成分

・浴用の適応症と禁忌症

・加水、加温、循環ろ過、消毒の有無

温泉は湧出後、空気との接触や成分の揮発、酸化などによって変化します。

そのため、できれば源泉の分析結果だけでなく、実際に浴用へ供されている場所の情報を確認するのが理想です。

温泉施設が掲示している適応症も、単に色を見て決めているわけではありません。

分析結果をもとに、定められた基準に沿って掲示されています。

野湯では色だけを頼りに入浴しない

自然の中に湧く野湯では、温泉分析書が掲示されていない場合があります。

お湯の色や臭いから、

「これは硫黄泉かな?」

「鉄分が多そうだな」

と想像するのは、温泉好きにとって楽しいものです。

しかし、色だけを頼りに泉質や安全性を判断するのは危険です。

自然の湯だまりには、高温の湯、強い酸性泉、硫化水素ガス、重金属、細菌、泥、落石などの危険が潜んでいる場合があります。

特に硫化水素は、高濃度になると臭いを感じにくくなることもあり、

「卵の臭いがしないから安全」

とは限りません。

立入禁止区域や私有地へ入らないことはもちろん、管理されていない野湯では無理に入浴しないようにしましょう。

温泉の色は自然が作る一期一会の景色

乳白色、エメラルドグリーン、コバルトブルー、茶褐色、黒色。

温泉の色は、含まれている成分だけでなく、空気との接触、温度、時間、微粒子、光の当たり方などによって生まれます。

そのため、同じ温泉でも毎回まったく同じ色になるとは限りません。

前回は透明に近かったのに、今回は白く濁っている。

晴れた日は青く見えたのに、曇りの日は緑色に見える。

そんな変化も、天然温泉ならではの面白さです。

ただし、温泉の色は泉質を推測するヒントにはなっても、確定する証拠ではありません。

正確な泉質や適応症は、浴場に掲示された温泉分析書で確認しましょう。

色鮮やかな温泉へ出会ったら、

「何色だから何に効く」

とすぐに決めつけるのではなく、

「どの成分や変化が、この色を作っているのだろう?」

と考えてみると、温泉巡りがさらに楽しくなると思います。



4 件のコメント

    • これは大分県だと思います。
      おそらく湯布院あたりだと思いますが、私が撮影したものではないので詳しくはお答えできず申し訳ありません。

  • えー!知らなかった!お湯の色で効能がわかるなんて!
    温泉大好きなので勉強になります!(*´◒`*)
    コバルトブルーの温泉なんてあるんですねぇ〜行ってみたいヽ(´▽`)/

    • ゆーたんまる様

      温泉が恋しい季節になりましたね。
      色で泉質が予測できるなんて面白いですよね。
      コバルトブルーのお湯は綺麗ですね。思わず飲みそうになってしまいます(笑

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    ABOUTこの記事をかいた人

    横浜市在住、旅行・温泉・グルメが好きで、実際に訪れた場所を写真多めで紹介しています。温泉ソムリエ。家族旅行から一人旅、ご当地グルメ・珍グルメまで、実体験だからこそ分かる情報をお届けしています。