賃貸物件のオーナーとして避けられない憂鬱な出来事といえば、入居者の退去です。
退去の何がイヤなのかというと、次の入居者が決まるまで家賃がもらえないというのはもちろんですが、それ以上に頭を悩ませるのが「リフォーム(現状回復)費用」。
わたしが戸建てを好んで所有している理由の一つが、一度入居すると長期間住んでくれる(=継続して家賃収入がある)からです。
しかし、長期間住むということは、退去した場合にはそれだけ室内も傷んでいますし、戸建てというのはワンルームマンションなどと比較すると室内面積が広いので、リフォーム費用も高額になりがちなんです。
リフォーム費用が高額になった私の体験談を伝えします。
今から6年以上前ですが、北海道の釧路市にあるオーナーチェンジ戸建てを買いました。
築年数は40年超えで、売り出し価格は250万円。
家賃は5万円。なので、利回りは24%です。
4人か5人のファミリーが住んでいる家でした。
購入後に家賃滞納があることが発覚して不安をもったものの、すぐに家賃保証会社に加入してもらいました。
初回の保証料だけは私が負担してあげました。
その後は家賃の滞納もなく、修繕依頼も全くなく、ただ毎月管理会社からの家賃入金だけある状態で時が経ちました。
そして・・・
ある日、管理会社から連絡が。
「誠に残念ですが、釧路物件の入居者さんから退去の通知がありました。〇月〇日で退去になります」。
うわ!きたか。。
そして、「10年以上入居されていたので、室内の現状回復費は高額になる可能性が高いです」と。
事実、退去後の内観写真を確認しましたが、ほんとボロボロでした。。
これを再び賃貸できるレベルまでリフォームするには、部分的な修繕では意味がなく、ほぼフルリフォームする必要があります。
全部屋の壁・床・天井のクロス張替え、破裂していた水道管の修理、キッチンシンクや洗面台などの取替、ストーブの新設など、内装や設備全般。
その見積り金額は・・・
198万円ほど!
約200万円です。かなりの金額ですよね。
ちなみに、敷金はとっていませんでしたが、とっていたとしても1〜2ヶ月分(5〜10万円)でしょうから、焼け石に水ですね。
さて、入居者が退去した一戸建て。この後どうするか?
選択肢は大きく三つ。
① そのまま物件を売っちゃう
② そのままの状態で激安家賃で他の人に貸す
③ リフォームをして賃貸に出す
リフォームをして実需または投資家に売る。という手もありますが、これは考えませんでした。
さあ、あなたならどうします?
① そのまま物件を売っちゃう
入居者がいなくなったタイミングで物件自体を売っちゃおうと。
高く売れないのはわかっている。
でも、持っていても固定資産税がかかるので、なるべく早く手放してしまおう。というわけです。
おそらく、多くの人がこれを選択するのではないでしょうか。
② そのままの状態で安い家賃で他の人に貸す
DIY可能な物件として安く貸す手もあります。
現状のままで安く貸すので、リフォームは自由にしてくれて良いですよ。ということですね。
不動産投資のことが多少わかる人は、この選択をするかもしれません。
以前のように5万円の家賃は取れませんが、1~2万円くらいなら借りる人がいるかもしれません。
③ リフォームをして賃貸に出す
綺麗にリフォームをして貸し出すことができれば、それに越したことはありません。
しかし、リフォーム費用は約200万円です。
仮に、以前のように5万円で貸せたとしても、その前に200万円の支出が必要になります。
では、この物件をそのままの状態で売るとします。
土地値が低い、築古、内装ボロボロの戸建てですから、売れても80万円でしょうか。
おそらく、それでもなかなか売れないと思います。
戸建てを解体して土地として売ったほうが売りやすいですが、解体費用も100万円はするでしょう。
結果として、徐々に値を下げながら売れるまで待つことになりそうです。
が、そのような価格で売れたとしても、手数料その他の費用が発生しますので、手残りは本当に少なくなります。
まあ、それでも仕方ない。売れただけ、物件を手放せただけラッキーとしよう。
普通の人はそう考えます。
では、現状のまま激安家賃で貸すとします。
おそらくですが、そのままの状態で賃貸をしても1~2万円の家賃はとれるでしょう。
「室内の状態がどうであれ、とにかく安い家賃で借りたい」という人は一定数います。
また、倉庫として借りるので室内状態は問題ない。という人もいます。
仮に、家賃1万円で貸せたとすると年間で12万円です。2万円で貸せたとすると、年間で24万円。
(水道管が破裂した、雨漏りが発生したなどの修繕が発生すると、そんな金額は一瞬で吹き飛んでしまいますけどね)
近年はDIY物件は流行っていますし、一つの手ではありますね。
と、普通は①または②を選ぶと思いますが、投資家は、③のリフォームをして賃貸に出すを選びます。
この釧路の物件は、累計家賃収入で物件購入費をすでに回収できています。
不動産投資は、物件購入費とリフォーム費がかかるわけですが、この釧路の物件については建物はすでに持っている状態なので、リフォーム費200万円だけで済みます。
あるいは、考え方を変えて「200万円の物件を購入した」と言うこともできます。
それを家賃5万円で貸すと、年間で60万円。
ということは、利回りは30%になるんですね。
200万円を投資して年間で60万円の収入を得る。ということです。
利回り30%ということは、3年4か月で元は取れちゃいます。
ただし、不動産投資の場合は「人に貸せたら」という前提があります。
借りてくれる人がいなければ当然家賃も入ってきません。
しかし、わたしは「リフォームさえしっかりすれぼ、必ずまた5万円で貸せる」と思っていました。
その根拠は、わたしが戸建てを好むもう一つの理由でもあるのですが、「戸建ては需要があり、全国どこにでも借りたい人はいる」というものです。
そして、見積り通りでリフォームの依頼をしました。
2023年の10月頃に着工し、1〜2ヶ月で全ての工事を終えました。
内装をほぼフルリフォームするので、6万円でも貸せるんじゃない?とも思い、管理会社と相談しましたが「地域相場は5万円だから難しい。5万5千円からスタートして様子を見たらどうか?」ということでした。
5万5千円で貸せたとしても、その地域の相場が5万円であれば早期退去につながる可能性もあります。
無難に5万円で募集をすることにしました。
結果、2024年2月上旬に入居者が決まりました。
1歳のお子さんがいる若い夫婦、それと祖母との四人家族とのことです。
小さな子がいるファミリー。わたしが好む入居者条件をクリアしていて、永く入居してくれそうです。
これでリターンを得られることとなりました。
そして、リフォーム済の物件に入居者がついたという事は、これを投資家に売る選択肢も出てきたという事です。
利回り20%あれば売れるので、300万円で売れるでしょう。
リフォームしないボロボロの空室戸建であれば80万円でも難しかったのが、リフォームして入居者がついたことで300万円で売れることになったのです。
今ある資金を減らさない事を考えるよりも、将来入ってくるお金のために今ある資金を使うほうが大事。
わたしはそう思っています。
お金を使わなければ減ることはないですが、将来のお金を増やそうと思ったら今あるお金を使う必要があります。
それを投資といいます。
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