法人で家を借りて社宅にすると節税になる?役員・従業員の家賃負担と仕組みを解説

法人を持っていると、車やスマホ、パソコンなど、事業で必要なものを法人名義で購入することで経費にできる場合があります。

もちろん、何でもかんでも法人で買えばいいという話ではありません。

事業との関連性は必要ですし、税務上のルールもあります。

ただ、法人をうまく活用すると、法人側の経費になるだけでなく、個人の家計から出ていくお金を減らせる可能性があるのも事実です。

その代表的な方法の1つが、今回のお話。

それは……

法人名義で家を借りて、社宅として住むことです。

「会社の社宅なんて、大企業だけの話じゃないの?」

と思うかもしれません。

でも、法人を経営している人や法人の役員、従業員であれば、条件を満たすことで社宅制度を利用できるケースがあります。

ただし、ここで注意。

以前は、「法人役員なら家賃の半額を払えばいい」という認識が一般的でしたが、これは少し正確ではありません。

役員社宅と従業員社宅では計算方法が異なり、単純に「家賃の半額でOK」とは言い切れないためです。

今回は、そのあたりを2026年時点のルールに合わせて整理してみます。

法人名義で家を借りて社宅に住む仕組み

仕組みはシンプルです。

まず、法人名義でマンションや一戸建てなどの賃貸住宅を借ります。

そして、その住宅を法人の社宅として役員や従業員に貸すわけです。

イメージとしては、こんな流れです。

  • 法人が大家さんや管理会社と賃貸借契約を結ぶ
  • 法人が家賃を支払う
  • 役員や従業員が社宅としてその住宅に住む
  • 住んでいる人は、法人に一定額の家賃を支払う

つまり、個人が直接大家さんと契約するのではなく、法人が借りた住宅を社宅として利用するという形です。

ここで重要になるのが、役員や従業員からいくら家賃を受け取るかということです。

この金額には税務上のルールがあります。

役員社宅は「家賃の半額でOK」とは限らない

法人の社長や役員が社宅に住む場合、一定額以上の家賃を法人に支払う必要があります。

この金額は「賃貸料相当額」と呼ばれます。

そして、法人が外部から借りた住宅を役員に社宅として貸す場合、住宅の種類や規模などによって計算方法が変わります。

例えば、小規模住宅に該当する場合は、固定資産税の課税標準額などをもとに計算します。

一方、小規模住宅に該当しない住宅を法人が外部から借りて役員に貸す場合は、法人が支払う家賃の50%相当額と、一定の計算式による金額のいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

つまり、

「家賃10万円の部屋だから、役員は必ず5万円払えばいい」

という単純な話ではありません。

物件の床面積や種類、固定資産税評価額などによって必要な金額が変わります。

ここは以前の記事より、かなり正確になりました。

昔の自分の記事に、自分でツッコミを入れるスタイルです。

なお、役員から賃貸料相当額より低い家賃しか受け取っていない場合、その差額は給与として課税される可能性があります。

従業員社宅はさらに別の計算方法

一般の従業員に社宅を貸す場合も、役員とはルールが異なります。

国税庁のルールでは、従業員から賃貸料相当額の50%以上を受け取っていれば、原則として社宅の貸与による経済的利益はないものとして扱われます。

ただし、ここでいう「賃貸料相当額」は、実際の家賃そのものではありません。

建物や土地の固定資産税の課税標準額などをもとに計算します。法人が外部から借りた住宅を従業員に貸す場合でも、この考え方で計算する必要があります。

そのため、物件によっては、実際の家賃が10万円でも、従業員の負担額が比較的低くなるケースがあります。

ただし、これは物件ごとに計算が必要です。

「家賃10万円なら1万円台で住める」と最初から決めつけるのは危険なので、実際に導入する場合は税理士などの専門家に確認したほうが安心です。



実際にわたしも法人名義の社宅に住んでいました

わたしが以前住んでいたマンションも、法人名義で借りていました。

代表をしている法人がマンションを借り、そこを社宅として利用していた形です。

当時は、法人と我が家で家賃を分担していました。

具体的な金額は伏せますが、仮に家賃が10万円だったとすると、我が家の負担は6万円程度。

残りの部分を法人側で負担していました。

もちろん、社宅制度を利用する場合は、誰でも好きな割合で負担額を決めていいわけではありません。

役員なのか従業員なのか。

住宅の広さはどうか。

法人が借りている住宅なのか、自社所有なのか。

こうした条件によって計算方法が変わります。

それでも、個人で家賃を全額支払う場合と比べると、適切に社宅制度を利用することで家計から出ていくお金を抑えられる可能性があるのです。

家賃は毎月発生しますからね。

年間で考えると、その差は意外と大きくなります。

どうですか?

ちょっと法人を作りたくなってきました?

……ただし、社宅のためだけに法人を作るのはおすすめしません。

法人には設立費用や税務、会計処理などもありますからね。

まずは、法人として継続的な事業や収入があることが大切です。

法人の安定収入を作るなら不動産賃貸という選択肢も

「でも、法人を作ったとしても、毎月の家賃を払えるだけの売上を安定して確保できるの?」

そう思う人もいるでしょう。

そこで、わたしが個人的に相性がいいと思っているのが不動産賃貸業です。

不動産を購入し、人に貸す。

そして、毎月家賃収入を得る。

シンプルですが、これが不動産賃貸の基本です。

もちろん、不動産投資にもリスクはあります。

  • 空室
  • 家賃滞納
  • 修繕費
  • 固定資産税などの税金
  • 金利上昇
  • 災害
  • 物件価格の下落

「不動産を買えば毎月必ず儲かる!」

なんて、そんな都合のいい話ではありません。

でも、入居者がいて、適切に管理できている物件であれば、毎月ある程度予測しやすい収入を得られるのは不動産賃貸の大きな特徴です。

例えば、小売業や飲食店の場合。

お客さんが多ければ売上は増えますが、少なければ売上も減ります。

昨日は大繁盛だったのに、今日はお客さんがゼロ。

商売をしていると、そんなこともあります。

一方、不動産賃貸では、入居者との賃貸借契約に基づいて家賃収入が入ります。

そのため、毎月の収入をある程度予測しやすいというメリットがあります。

複数の物件を持てば収入源の分散にもなる

もちろん、1つの物件だけに頼るのはリスクがあります。

例えば、1戸だけ所有していて、その入居者が退去してしまったら。

その瞬間、家賃収入はゼロです。

なかなか切ない。

しかし、複数の物件を持っていれば、1室が空室になっても、他の物件から家賃収入が入る可能性があります。

物件数が増えれば増えるほど安心、という単純な話ではありませんが、地域や物件タイプを分散することでリスクを抑える考え方もできます。

そして、不動産賃貸による収入を法人で得られるようになれば、事業の内容によっては社宅制度を含め、法人を活用した資金管理や福利厚生について考える選択肢も広がります。




まとめ|法人の社宅制度は「家賃を半額にできる魔法」ではない

法人名義で住宅を借り、役員や従業員の社宅として利用する方法は、条件によっては家計の負担を抑える有効な選択肢になります。

ただし、今回の記事で一番大切なのはここです。

役員社宅と従業員社宅では、税務上の扱いや必要な家賃負担額が異なります。

特に役員の場合は、単純に「家賃の半額を払えばOK」というわけではありません。

住宅の規模や形態、法人が所有しているのか、それとも外部から借りているのかによって、賃貸料相当額の計算方法が変わります。

一方で、きちんとルールを理解して社宅制度を活用すれば、法人と個人の支出を整理し、家計から出ていく固定費を見直すきっかけにもなります。

家賃は毎月発生する固定費です。

だからこそ、1か月では小さな差でも、数年単位で見るとそれなりの金額になります。

法人をすでに経営している人。

これから法人化を考えている人。

不動産賃貸業を法人で始めたいと考えている人。

そんな人は、社宅制度について一度調べてみる価値があると思います。

ただし、実際に導入する際は、物件ごとの条件によって計算が変わります。

「ネットの記事に家賃半額って書いてあったから大丈夫!」

というノリで始めるのは危険です。

……この記事自身が、以前はちょっとその方向に寄っていましたからね。

社宅制度を実際に利用する場合は、税理士などの専門家にも確認しながら、自分の法人に合った方法を検討してみてください。

コメントを残しましょう

ABOUTこの記事をかいた人

横浜市在住、旅行・温泉・グルメが好きで、実際に訪れた場所を写真多めで紹介しています。温泉ソムリエ。家族旅行から一人旅、ご当地グルメ・珍グルメまで、実体験だからこそ分かる情報をお届けしています。